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査定と返戻、なぜ起こる? 現場でできる予防策を解説!

「正しく請求したつもりなのに、査定されてしまった」 「返戻が届いて、対応に追われている」—— レセプト業務に携わる多くの方が、一度はこうした経験をお持ちではないでしょうか。

査定や返戻は、決して「運が悪かった」結果ではありません。そこには必ず理由があり、その理由の多くは事前の点検で防げるものです。今回は、まず査定と返戻の違いを整理した上で、起こりやすいパターンと現場でできる予防策についてお伝えします。

査定と返戻、何が違うのか

実務では混同されがちな両者ですが、性質はまったく異なります。

査定は、審査支払機関がレセプトの内容を審査した結果、請求点数の一部または全部が減点・減額されることを指します。査定された分は基本的に医院の損失となり、再請求も原則できません(再審査請求は可能ですが、認められるとは限りません)。

返戻は、レセプトの記載不備や基本情報の誤りなどにより、審査される前の段階で医院に差し戻されることを指します。返戻されたレセプトは、修正して再提出すれば原則として支払われます。ただし、修正・再提出の手間がかかり、入金が翌月以降にずれ込むため、医院のキャッシュフローに影響を与えます。

つまり、**査定は「収入の確定損失」、返戻は「入金遅延と業務負担」**という違いがあります。どちらも経営インパクトは小さくありません。

査定されやすい3大パターン

1. 病名と処置内容の不一致

最も多い査定理由が、病名と請求している処置内容が結びつかないケースです。たとえば、抜髄処置を行ったのにそれを示す病名が記載されていない、あるいは病名はあっても診療内容との因果関係が不明瞭な場合などが挙げられます。

審査側は、病名と処置の整合性を厳しく見ています。「処置に対して必要な病名がきちんと記載されているか」を、請求前に必ず確認しましょう。

2. 算定要件の確認不足

特定の管理料や指導料には、文書提供や記録の保存といった算定要件が定められています。要件を満たさずに算定すれば、当然査定対象となります。

「ずっとこのやり方で通っていたから」という慣習で算定しているケースほど注意が必要です。改定で要件が変わっていることもあるため、定期的に最新の通知を確認する習慣が欠かせません。

3. 重複算定・回数オーバー

同月内・同日内に算定できる回数が決まっている項目もあります。複数の担当者が関わると、知らず知らずのうちに重複算定が発生することがあります。

これは個人のミスというより、医院内のチェック体制の問題でもあります。月締めの前に「重複していないか」を確認する工程を組み込んでおくことが有効です。

返戻されやすい3大パターン

1. 患者基本情報の誤り

保険者番号、被保険者番号、記号、氏名、生年月日などの記載ミスは、返戻の代表的な原因です。月途中での保険変更を見落としていたケースも頻発します。

月初の保険証確認はもちろん、月途中で保険情報が変わった患者については、変更日以降の請求区分が正しく分かれているか必ず確認しましょう。

2. 必要事項の記載漏れ

摘要欄への記載が必要な項目が抜けている、症状詳記が必要なのに添付されていないなど、「書くべきことが書かれていない」ことによる返戻も多く発生します。

特に高点数のレセプトや、算定要件として記載が義務づけられている項目については、提出前のチェックリストを設けるのが有効です。

3. 入力ミス・転記ミス

回数や日数の入力誤り、部位の取り違えなど、単純なヒューマンエラーによる返戻も少なくありません。レセコンから出力されたデータを過信せず、最終的に人の目で確認する工程を必ず入れましょう。

現場でできる予防策

査定・返戻を減らすために特別な道具は必要ありません。重要なのは次の3点です。

第一に、チェックリストの活用です。 自院でよく算定する項目と、その算定要件・記載要件をリスト化しておけば、確認漏れを大幅に減らせます。査定対策と返戻対策は、それぞれ異なるチェック観点が必要なので、リストも分けて作成することをおすすめします。

第二に、ダブルチェック体制の構築です。 一人で点検するのと、別の目が入るのとでは、発見できるミスの数がまったく違います。可能な範囲で複数人によるチェック工程を取り入れましょう。

第三に、事例の共有と分析です。 過去に査定・返戻を受けた事例を院内で共有し、「なぜそうなったのか」を分析することで、同じミスの再発を防げます。

返戻が来たときの対応原則

返戻が届いたら、放置せず速やかに原因を特定し、修正のうえ再提出することが鉄則です。返戻分は再提出しなければ支払われません。

また、再提出時には「同じミスを繰り返さないための仕組み化」までセットで考えることが大切です。返戻対応を「個別案件の処理」で終わらせず、「次の改善につなげる材料」として活用しましょう。

査定・返戻は「学びの機会」と捉える

査定や返戻を受けると落ち込んでしまいがちですが、それは現場の点検精度を高める貴重な情報源でもあります。原因を一つひとつ分析し、対策を仕組みに落とし込んでいくこと。その積み重ねが、強い点検体制をつくっていきます。

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